太陽光発電「高すぎる」買い取り価格 13年度から値引き下げへ
再生可能エネルギーで発電した電気の固定価格による全量買い取り制度で、経済産業省は太陽光発電の買い取り価格を、2013年度から引き下げる方針を固めた。
2012年度に導入した太陽光発電の買い取り価格は、1キロワット時42円。これを37円前後に引き下げるという。太陽光発電の買い取り価格は当初から「高すぎる」と批判があった。
■太陽光パネルが値下がりした
経産省は2013年1月21日の調達価格等算定委員会で、13年度の買い取り価格を議論。太陽光発電の価格は、太陽光パネルなどの設備価格の値下がりを反映してやや引き下げ、また風力発電や地熱発電などは導入実績が少ないことなどから、価格を据え置く方針を固めた。
再生可能エネルギーでつくった電力は電力会社が固定価格で全量を買い取る。買い取り価格の算定は、発電設備の建設費や運営費などに加え、利益率を原則6~8%上乗せして決めるが、普及を促すために利益率を高めに設定していることから、年度ごとに見直すことにしている。
12年度に1キロワット時42円としている太陽光発電の買い取り価格は、「実態調査をすると太陽光の発電設備の価格は相当下がっている。(13年度は)30円台後半に引き下げることができる」、茂木敏充経済産業相はそう述べた。
背景には普及の拡大と、太陽光パネルの値下がりがある。なかでも、世界シェア7割を占めるとされる中国勢の供給超過による「値崩れ」の影響は大きい。
経産省の試算によると、住宅用太陽光発電の設備費用は、12年度は1キロワットあたり46万6000円を想定していたが、12年10~12月は42万7000円だった。メガソーラー(大規模太陽光発電所)も32万5000円から28万円に下がった。土地代や修繕費は据え置く見通しだが、これらを反映した場合の買い取り価格は1キロワット時37円前後になるという。
一方、電力会社の電気料金への上乗せ額は、13年度は再生可能エネルギーの導入量が増える分、標準家庭の全国平均で12年度の月87円から13年度は100円程度まで上がるとみている。
経産省は4月から新料金での買い取りをはじめたい考えだ。
■「42円」のうちに、「駆け込み認定」増える?
太陽光発電の買い取り価格の引き下げは、風力発電や地熱発電などの「他の再生可能エネルギーの導入を進める狙いもあります」と、経産省は話す。
固定価格の全量買い取り制度がはじまって半年が経つが、認定を受けた設備は買い取り価格の高い太陽光発電に偏っている。
経産省によると、認定を受けた再生可能エネルギーの比率は、太陽光発電(住宅用)が19.9%、太陽光発電(非住宅用)が69.5%と、太陽光発電だけで約90%を占めていて、風力発電は9.4%、バイオマス発電1.1%、水力発電はわずか0.1%に過ぎない(12年7~11月末、総発電能力364万8000キロワット)。
太陽光発電の買い取り価格が1キロワット時42円に設定されたことには、当初から「高すぎるのではないか」との批判の声は少なくなかったが、このままだと参入しやすい太陽光発電の普及だけが進んでしまう。それが、一般家庭などの電気料金の値上げのピッチを速めることにもなりかねないことにもなる。
とはいえ、全量買い取り制度は、買い取り契約を結んだ時点の価格が継続されるため、42円の買い取り価格は20年間(住宅用の場合は10年間)にわたって固定される。12年度内に参入したほうが利益は大きい。
設備の申請から認定までは約1か月。「今年度内に認定を受けて、電力会社との接続申し込みが受領されれば、(42円での買い取り)認められます」(経産省)。
(記事:MSNマネー)