三菱重工、無線送電技術の地上実証試験に成功 – 宇宙太陽光発電システムの実現に一歩
三菱重工業株式会社は12日、同社神戸造船所(兵庫県神戸市)内において、将来の発電システムである宇宙太陽光発電システム(SSPS / Space Solar Power System)の中核技術として開発が進んでいる無線送電技術の地上実証試験を実施し、長距離の無線送電に成功したと発表した。
この実証試験は、経産省から一般財団法人宇宙システム開発利用推進機構(J-spacesystems)が委託を受けた「平成24年度太陽光発電無線送受電技術の研究開発事業」の一環として同機構と実施されたもの。無線電力伝送技術とは、ケーブルを用いないで送電する技術のことを指す。
実証試験では、送電ユニットから10キロワットの電力をマイクロ波で無線送電し、500メートル先の受電ユニット側に設置したLEDライトをその電力の一部を使って点灯させることに成功した。また、ビームが受電ユニット以外の方向へ放射することのないように制御する先進の制御システムの適用試験も実施され、問題のないことが確認された。今回の実証試験成功は、地上のさまざまな場面で従来にない長距離の無線送電に道を拓くものと言え、SSPSへの適用に先駆け、今後は送電線の敷設が困難であった場所への送電や、洋上風力発電から陸上への送電、電動車両への無線充電といった応用が期待されている。
同社は、今後も宇宙開発の先進技術の適用範囲を広げることで社会に貢献していくとともに、将来の宇宙太陽光発電システムの実現へ向けて日本の技術をさらに前進させていくとしている。
三菱重工業株式会社 – プレスインフォメーション
http://www.mhi.co.jp/news/story/1503125626.html