パナソニック、太陽電池の発電性能で世界最高
パナソニックは太陽電池の発電性能で世界最高を更新した。太陽光を電気に変える効率を現状より0.8ポイント高い24.7%に引き上げ、これまで最高の米サンパワー(24.2%)を上回った。研究成果を住宅分野での製品開発につなげ、価格競争の厳しい同分野での生き残りを目指す。
太陽電池はパネルを通じて入ってくる太陽光を電力として取り出す(発電)までに様々なロスが出て、一般にエネルギーの約7~8割を失う。このロスをできるだけ小さくして変換効率を高められれば、より多くの電力を生み出せる。
パナソニックは太陽電池の中核部材「セル(発電素子)」の表面の膜を改良し、太陽電池内部への太陽光の吸収量を増やせるようにした。発電した電気を効率よく取り出せるよう、電極の材質や形も見直した。
その結果、産業技術総合研究所の測定では、研究段階で24.7%と高い変換効率を実現。国際的な太陽電池の論文誌「プログレス・イン・フォトヴォルテイク」で世界最高と認められている米サンパワーの24.2%を上回った。今後は実用化に取り組み、現在は21.6%にとどまる市販品の品質向上を目指す。
パナソニックは太陽電池事業では黒字を確保しているが、今後の事業環境は厳しくなると判断。セルの材料からパネルの組み立てまで一貫生産するマレーシア新工場を立ち上げ、海外部材の採用拡大などで生産コストを2割引き下げる。商品面でも値崩れしにくい住宅用を中心に高効率の太陽電池を開発し、収益性を高める方針だ。
(記事:日本経済新聞)