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メガソーラー相次ぎ田原へ

 田原市の臨海部に国内最大級の大規模太陽光発電所(メガソーラー)の計画が相次いでいる。昨年11月には、三井化学(東京都港区、田中稔一社長)など7社が同社所有地(緑が浜二号)で、発電出力5万キロワットのメガソーラー建設に着手したほか、三菱商事(東京都千代田区、小林健社長)などは先月、愛知県企業庁が分譲する田原1区(同)と田原4区(白浜二号)で、7万7000キロワットのメガソーラー建設を発表した。田原に『メガソーラー』の理由をまとめる。

■電気の買い取り価格制度が後押し
 関係者の話を総合すると、メガソーラー計画を進める理由は二つの事業ともほぼ同じ。最初に挙げられるのは、国の再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度が昨年7月に始まったことだ。

 この制度は、再生可能エネルギー(太陽光、風力、水力、地熱、バイオマス)を使って発電された電気を、一定価格で電力会社が買い取ることを義務付けた制度。開始当初は普及促進のため高めに設定されており、今年度中契約の場合、太陽光発電は1キロワット時あたり42円に設定されている。

 買い取り価格の設定は年度ごとに見直されるが、買い取り契約を結んだ時点の価格が契約期間中は継続されるため、42円の買い取り価格は20年間(住宅用の場合は10年間)固定される。2つの事業とも、現在の高水準の買い取り価格で中部電力に全量売電すれば「利益が出る」(関係者)計算だ。

 一方、経済産業省は先月21日の調達価格等算定委員会で、13年度の買い取り価格を議論し、太陽光発電の価格は、太陽光パネルなどの設備価格の値下がりを反映してやや引き下げる方針を固めた。当初から買い取り価格の値下げは予想されており、『駆け込み契約』の風潮も、計画実行を後押しした。

■田原市の『地の利』生かす
 太陽光発電は、天候に大きく左右される。2つの事業者が計画場所を田原市にした理由は日照時間の長さだ。

 気象庁データ平均値によると、年間日照は約2200時間で、国内トップクラスである。

 さらに三井化学の関係者は「高圧送電線が予定地の近くを通っている」ことも理由に挙げた。高圧送電線は発電事業者が設置するもので、近くにあれば、設置コストが低く抑えられる。

■メガソーラーの中心地に
 同市は、太陽光や風力など、再生可能エネルギーの利用推進に取り組んでいる。2つの計画(いずれも14年度中稼働予定)を合わせた発電規模は12万7000キロワットにもなり、日本最大級のメガソーラー集積地になる。三井化学などが進めるメガソーラー計画では、見学施設の整備も盛り込まれており、全国からの熱い視線が注がれる

(記事:東日新聞)