県の自然エネルギー発電 総合特区で不採択
県が自然エネルギー普及に向け、国に規制緩和や財政支援を求めた総合特区申請が認められなかったことが15日、分かった。諏訪地域の県有施設などを民間に貸し出して太陽光発電を行う屋根貸し事業と、塩尻市のバイオマス(生物資源)発電計画で、事業は断念しないものの、特例措置を生かして軌道に乗せる狙いが外れた格好だ。
政府が15日発表した総合特区の3次指定は、神奈川県のロボット産業集積を目指す提案など5地域を総合特区に指定。3次指定は10地域から申請があり、長野県は指定5地域を含む8地域の最終選考に残っていたが、「革新的な要素が少なく、さらなる検討が必要」などとされた。
県の申請の一つは、県諏訪湖流域下水道豊田終末処理場(諏訪市)の敷地や処理場周辺の公民館などを太陽光発電・売電用スペースとして民間事業者に貸し付ける事業に伴う。施設建設時などに補助金を交付した省庁の承認手続きの簡素化、補助割合に応じ貸付料の一部を国へ返還することなく自然エネルギー普及の資金に充てられるよう補助金適正化法の緩和を提案した。
提案が認められなかったことについて、県温暖化対策課は「県から市町村へと普及を目指す上で貸付料が柔軟に使えないのは、自治体にとって利点が一つ少なくなるかもしれない」とした。
一方、松本市の木材加工会社や県、塩尻市などが連携するバイオマス発電所と大規模な製材工場建設計画では、発電所で発生する焼却灰を産業廃棄物でなく肥料として利用することで処理費を抑えられるよう、国に焼却灰の利用に関するガイドライン提示を求めていた。産廃として処理をする場合、新たなコストを強いられる可能性もある。
総合特区は民主党政権下の2011年度に指定を始め、今回の3次指定で計44地域を指定。1次で駒ケ根市や飯山市など県内6市町村と信大工学部が小水力発電に伴う水利権許可手続きの簡素化を申請したが、指定されておらず、県内での指定実績はない。
(記事:信濃毎日新聞)