県内初の市民ファンド型共同発電所 あわらで開所式
福井県内初の市民ファンド方式による太陽光発電の「ふくい市民共同発電所」があわら市内など3カ所の屋根や屋上に設置され11日、同市で開所式が行われた。発電は既にスタートしており、売電収入を元に毎年、出資者に元本償還と配当を行う。北陸電力管内での「屋根貸し」事業は初めて。
太陽光パネルが設置されたのは、あわら市二面の社会福祉法人ハスの実の家(12・54キロワット)と、坂井市坂井町の住宅(4・19キロワット)、福井市大町の会社社屋(9・6キロワット)。ファンド運用を行う「株式会社ふくい市民発電所」が設置場所を募り、昨年12月に着工。いずれも1月29日から発電を始めた。電気は北電に売電される。
開所式はハスの実の家で行われ、ふくい市民発電所とその母体のNPO法人エコプランふくいなどの関係者、屋根を提供する3者、ファンド出資者ら約25人が出席した。
同発電所代表取締役の吉川守秋さんから屋根貸し3者に、施設の名称を書き記した看板が手渡された。ハスの実の家の辻克佳事務長は「少しでも原発に依存しない社会になれば」と話していた。
ファンドは一口20万円で一般の35人・団体と金融機関から計50口(1千万円)を集めた。目標の年間配当を2・5%とし、売電収入が増えればさらに上乗せする。契約期間は20年間で、順調に発電できれば1口20万円に対し、元本と配当を合わせ約26万円を分配できるとしている。
昨年7月の再生可能エネルギー固定買い取り制度の開始に伴い、全国ではこうしたファンド方式の発電所設置が進む。ふくい市民発電所によると、先進例として知られる長野県飯田市の「おひさま進歩エネルギー株式会社」は2005年以降、同市内200カ所以上でファンド式の太陽光発電所を運用している。
ふくい市民発電所は、新年度に新たにファンドを募り、さらに太陽光の共同発電所を設置したい考え。吉川さんは「ファンド方式は、エネルギーの地産地消に寄与することができる。今後は小水力や風力などでも可能だろう」と話している。
(記事:福井新聞)