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紙の太陽電池:製造コスト10万分の1 厚さ1ミリ以下、折りたたみOK

木材パルプを原料にした「紙の太陽電池」を、大阪大学産業科学研究所の能木(のぎ)雅也准教授(材料学)らのグループが開発したと明らかにした。太陽電池は小型、薄型化の研究が進むが、今回は材質上、環境に優しいことが特徴。製造コストも従来の10万分の1に抑えられるという。厚さ1ミリ以下で折りたたむことができ、災害時に被災地で使うなどの用途が考えられる。

 太陽電池は、光エネルギーを電気エネルギーに変換する部分(素子)と電気を運ぶ配線、これらを包み込む基板で構成される。基板は、素子に太陽光が届くように、透明なガラスやプラスチックを使うことが多い。

 今回、グループは、木材パルプの繊維を厚さ15ナノメートル(ナノは10億分の1)と超極細にし透明にすることに成功。これを基板に使った。素子には一般的に使われるシリコンなどではなく薄い膜状になる有機物を、配線には細い銀のワイヤを用いた。

 その結果、電気の変換効率は3%と、家庭の屋根に取り付ける一般的な太陽光発電パネルの10〜20%よりも低いものの、今回と同じ素子を使ったガラス基板の太陽電池と比べると同程度。今回、試作したのは縦2センチ、横5ミリ。実用化した際の製造コストは、ガラス基板の約10万分の1、プラスチックの500分の1〜5000分の1。製造方法も、加熱して配線を基板に付ける方法から、圧力を加える方法に改め、消費エネルギーを少なくし、環境に優しくした。数年後の実用化を目指している。