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駆け込め 太陽光売電

 再生可能エネルギーで作った電気の「固定価格買い取り制度」で、経済産業省は先月下旬、太陽光発電の買い取り価格を4月から1割程度引き下げる方向で検討に入った。県内では、現行価格で売電するため、今年度中の手続き完了を急ぐ自治体や企業がある一方、太陽光発電所の誘致計画を凍結する自治体も出ている。

 太陽光発電の買い取り価格は現在、1キロ・ワット時あたり42円。茂木経産相が先月21日、4月から30円台後半に引き下げる意向を明らかにした。出力10キロ・ワット以上の施設は、最初に適用された価格が20年間保証されるため、規模によって20年間で売り上げに1億円以上の差が出る可能性がある。

 現行価格が適用されるには、3月31日までに経産省の設備認定を受け、東京電力などに送電線への「接続検討申し込み」が受理されなければならない。同省によると、今月22日までに申請しなければ、今年度中の認定は難しいとしている。
 県企業局は先月、板倉町で計画する出力2・2メガ・ワット(2200キロ・ワット)の大規模太陽光発電施設(メガソーラー)の手続きを早め、稼働開始を今秋から7月に前倒しした。同局発電課の担当者は「経営を考えると、有利な条件で契約するのは当然」としている。売り上げが年間で約1000万円も違ってくるという。

 榛東村山子田に出力0・5メガ・ワットの発電施設を建設する同村も手続きを急ぐ。先月30日に臨時村議会を開き、東京都内の企業との工事請負の随意契約を可決した。阿久沢成実村長は「時間がかかる競争入札では、期限に間に合わないと判断した」と話している。

 急ピッチで作業を行い、間に合わせた企業もある。印刷紙器製造の「パッケージ池畠」(前橋市力丸町、池畠美穂社長)は、前橋市金丸町に約2メガ・ワットのメガソーラーを建設し、3月の売電開始のめどを付けた。

 建設を決定したのは、昨年8月。価格引き下げのうわさもあり、工事請負契約も競争入札を中止し、随意契約に切り替えた。今月7日に東電との交渉もまとまり、現行価格の適用がかなったという。池畠毅充会長は「本当に冷や冷やした」と胸をなで下ろした。

 一方、発電施設誘致を断念した自治体もある。中之沢野球場(前橋市粕川町)に発電施設の誘致を目指していた前橋市は昨年末、計画を一時凍結した。公募をしたが、応募がなかったためだ。同市環境政策課によると、問い合わせ企業から「スケジュールがきつく、現行価格の適用が難しい」との声があったという。土地造成費を新年度当初予算案に盛り込まない予定で、土地の利用方針も未定だ。同課では「新価格を見て、来年度以降に事業が可能か検討したい」としている。

 伊勢崎市も、同市柴町のごみ最終処分場を活用しメガソーラーの誘致を行っているが、まだ企業が見つからず、現行価格の適用は難しいという。同市環境保全課では、新年度に公募も視野に計画の軌道修正を図ることにしている。ある自治体の担当者は「昨年7月の制度開始から1年足らずで価格を見直すのは、唐突で早すぎる。もっと時間がほしかった」と訴える。

(読売新聞)