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日本公庫松本支店、太陽光発電VBに新株予約権付融資

 日本政策金融公庫松本支店は、環境ベンチャーのネクストエナジー・アンド・リソース(駒ケ根市、伊藤敦社長)に新株予約権付きの融資を実行した。担保の代わりに新株予約権を受け取り、株式上場時に伊藤社長に時価で売却する。同社は太陽光発電システムの販売・施工が主力で、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度を追い風に業績を伸ばしており、成長性は高いと判断した。

 27日までに2回に分けて総額2億円を融資、このうち5000万円を新株予約権付きの融資の対象にした。5000万円分の融資期間は5年間、金利は年1.45%。通常よりも利率が低く担保も付けないかわりに、新株予約権を受け取る。

 ネクストエナジーは将来の上場を目指している。新株予約権はあらかじめ設定した行使価格で株式を取得できる権利で、例えば行使価格を100円に設定し、株価が300円の時に売却すると200円が利益となる。

 日本公庫は上場時に権利を行使せず、伊藤社長に時価で売却する予定。株数や行使価格については明らかにしていない。

 新株予約権付融資は県内では同じ松本支店が09年に別の塩尻市内の企業に実施している。

 ネクストエナジーは太陽光発電システムの設計や販売、施工が主力で、中国で製造した太陽光パネルを輸入し設置している。再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度で需要が急増。2012年6月期の売上高は6億円強だったが、「13年6月期は35億円程度に達する見込み」(与那嶺栄治経営管理部長)。注文の急増に対応するため、運転資金が必要になったとしている。

 太陽光の買い取り価格は、現在の1キロワット時42円から来年度は下がる公算が大きい。ただ同社はパネルの老朽化による発電能力の低下などに対応した保守管理のノウハウを持つ。日本公庫松本支店は太陽光発電の普及が進んだ後も、メンテナンス業務などで成長力を維持できるとみて融資を決めた。

(日本経済新聞)