オービス、太陽光発電施工を拡大 事業所需要狙う
オービスは太陽光発電システムの施工事業を拡大する。全国的なプレハブ住宅の営業網を生かし、事務所建物や工場、物流センターの屋上など事業所用の太陽光発電需要の掘り起こしを進める。設計から施工まで一貫して任せられる利便性を売り物に顧客を囲い込む。2012年10月期に5億円だった同事業の売上高を3年後には33億円に伸ばし、主力の梱包材事業に並ぶ収益の柱に育てる。
同社はプレハブ住宅事業の経験から太陽光発電設備の提案、設計から資材の調達、施工までを一貫して手掛けることができる。「受注後は発注者側を煩わせることなく3カ月~半年程度で設備の引き渡しができる」(中奥淳史常務)という。
太陽光パネルを屋上などに設置するために必要な鉄骨は自社工場で製造しており、設置場所に応じて柔軟に設計、施工ができる。電気工事関連の迅速な施工に向け、現在、福山に3人、東京に1人配置している1級電気工事施工管理技士も逐次、増員していく。
オービスは10年2月に太陽光発電設備の施工事業に参入した。仙台や千葉、大阪、広島などを拠点にプレハブ住宅の営業部隊が事業所による太陽光発電需要の掘り起こしを進めている。三菱電機など太陽光パネルメーカーから施工を請け負うこともある。
同事業の受注は、12年7月の再生可能エネルギーの全量買い取り制度発足に伴い順調に伸びている。10年10月には広島県世羅町で約3億円で受注した発電能力1000キロワットのメガソーラー施設の施工を終えた。兵庫県や福岡県、大阪府などでも50~1000キロワットの太陽光発電設備の施工を受注している。
同社では12年10月期に5億円程度だった同事業の売上高を13年10月期には25億円に伸ばす考え。今後買い取り価格の見直しもあり、これまでのような受注量の急増は見込めないものの、屋上や遊休地の有効利用策としての太陽光発電設備の施工需要を着実に取り込む。
同社はニュージーランドから自社保有船で直輸入した松材を加工する梱包材事業が主力で、12年10月期の売上高は64億円と連結売上高全体の3分の2を占める。これに対し太陽光設備施工やプレハブ住宅などエコ・ハウス事業は24億円で4分の1程度にとどまる。15年10月期には太陽光関連を伸ばすことで同事業の全体に占める割合を3分の1以上に高めていく。
(日本経済新聞)