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有機農場に太陽光発電 市民の出資募り導入

 オーガニックな農業に自然エネルギーを-。能登半島などで有機農業に取り組む企業「金沢大地」(金沢市)が、石川県輪島市の農場に市民参加型の太陽光発電システムを導入する。千年先まで持続する農業を目指す方針に、市民とともに取り組むのが狙い。東日本大震災でエネルギーの在り方が見直される中、“電力の地産地消”のモデルを提案する。協力する市民には有機農作物や農場体験を提供し、能登の振興にも役立てる計画だ。(小室亜希子)
 社内に「みんなの自然エネルギーファーム」事務局をつくり、輪島市門前町の作業小屋の屋根に発電出力一五・九六キロワットの太陽光パネルを設置。国の再生可能エネルギー固定価格買取制度を利用して、発電量すべてを北陸電力(富山市)に売電する。生まれた電気はこの農場も含めて地域で利用される。
 設置費用約六百万円はNPOバンク「ピースバンクいしかわ」(石川県野々市市)とのと共栄信用金庫(同県七尾市)から融資を受けた。この費用の一部について、一口五万円で取引先や顧客から資金を募り、返済に充てる。
 出資者には十年後に元金を償還するほか、希望に応じて自作の能登ブランドの大豆やソバといった有機農産物か現金で売電利益を分配する。三月下旬から太陽光パネルの設置工事に入り、収穫期などに出資者を農場に招いて交流も深める。
 同社の井村辰二郎代表(48)は「千年先まで見据えた農業は農家としての使命」と強調。「人を動かし心も動かさないと、過疎化など地方の問題は解決しない。出資をきっかけに能登を第二の古里と思ってほしい」と話す。
二重の貢献できる
 小島敏郎青山学院大教授(環境政策)の話 出資者にとっては自然エネルギーと地域に対して二重の貢献ができて魅力がある。自分たちの発電所、農場というように愛着が生まれるだろうし、地域の活性化にもつながるいいアイデアだ。
 金沢大地  井村辰二郎代表が1997年に家業を継ぎ、河北潟干拓地で耕作放棄地を開墾。2006年から石川県輪島市や珠洲市でも耕作放棄地を開墾し、現在金沢と能登を合わせ180ヘクタールで米や大豆、大麦、小麦などを有機栽培する。「能登と世界(みんな)をつなごう」をスローガンに能登ブランドの商品開発にも取り組んでいる。資本金2400万円。

(中日新聞)