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片手で運べる太陽光発電蓄電器 岐阜の起業家が商品化

 東日本大震災による東京電力福島第一原発事故を機に、自然エネルギーによる小型発電機器の開発に乗り出した岐阜市の起業家が、片手で持ち運び可能な太陽光発電蓄電器を商品化した。震災二年となる十一日、福島市内の犠牲者追悼式にボランティアとして参加し、「被災者の不安を少しでも取り除けたら」と新商品を寄贈する予定。
 開発したのは岐阜市杉山町、ベンチャー企業「ベーシス」の関谷高史社長(39)。新商品「モノリス」は、現在、一般的に使われている蓄電器の容量を保ったまま小型、軽量化を図った。「このサイズで同じ性能を持った蓄電器は世界にもない」と胸を張る。
 関谷社長は岐阜市内にある給油所の三代目。苦しい経営が続く中、新たな事業展開を模索し、三年前、太陽光パネル講習会に参加して以後はパネルの自作を重ねていた。
 そんな時期に震災が発生。「震災時には通信機の電源確保が必要だ」と痛感し、ぼんやりと描いていた「自然エネルギー発電を利用した起業」に向けて、岐阜市からの支援も受けて本格的に動きだした。
 苦心したのは、軽量の蓄電池に合わせた仕組み作り。愛知県内の基盤製作会社に協力を求め、一年半がかりで太陽光パネルと蓄電池をつなぐ高性能の基盤を完成させた。
 従来の商品は中国製部品で組み立てられ、重さは二十キロ超。充電効率にも課題があった。モノリスは、片手で運べるように本体の厚さを六センチ、重さを最大十三キロに収めた。六時間の日照で、スマートフォン(多機能携帯電話)五十台が充電できる。
 基盤は既に、太陽光利用の防犯カメラ用として五百枚を受注。関谷社長は「自治体を中心に国内外で販売し、将来的には小水力、風力発電にも挑戦したい」と話す。
 価格は、毎時六〇~二四〇ワットの出力容量に合わせて、二十万~三十五万円。医療機器にも対応する。問い合わせはベーシス=電058(214)6361=へ。

(中日新聞)