「太陽光」市民が応援 福井のNPOが会社
市民らが出資する市民ファンドを活用し、福井市の環境NPOが県内3か所に設置した太陽光発電所「ふくい市民共同発電所」が、発電を開始した。市民参加の発電事業は県内初といい、14日には普及を目指したNPO主催のフォーラムが開かれる。担当者は「原発が立地する福井県民にこそ再生可能エネルギーを身近に感じ、事業に参加してもらいたい」と意気込んでいる。(村上和史)
発電所は、あわら市二面の生活介護事業所「ハスの実の家」、坂井市内の民家、福井市大町のペット葬儀会社「ラブ」の3か所。再生可能エネルギーの普及を目指す環境NPO「エコプランふくい」が会社を設立して屋根や屋上部分を年数万円で借り受け、計25キロ・ワットの太陽光パネルを設置した。
発電事業は、昨年7月に国が始めた再生可能エネルギーの固定価格買取制度が契機になった。電力会社が発電分のすべてを1キロ・ワットあたり42円で20年間買い取るため、同社が1口20万円、20年満期の契約で出資者を募集。賛同した35の個人・団体とファンドを設立し、設備費などに充てた。
年間の発電量は、一般家庭約7世帯分にあたる2万5000キロ・ワット時を見込む。その場合の売電収入は約100万円で、ファンドからは出資額の2・5%の配当が支払われる。災害などでパネルが破損しなければ、満期までの配当額と元本は計約26万円になるという。
出資した坂井市丸岡町西瓜屋、主婦畑野麻美子さん(63)は「再生可能エネルギー発電を選ぶという姿勢を自分自身にも、他人にも示すことができる。原発が多数立地する県内で進めていくべき事業だ」と期待する。
ただ、出資額の高さが普及に影を落とす。同様の取り組みが国内で最も活発に行われている長野県では、1口5万~10万円に設定されたため、同県内に250か所以上の太陽光発電所が誕生した。
エコプランふくいの加藤浩史さん(31)は「市民ファンドは、まだなじみが薄く、出資者が集まらない可能性があったので、額を高く設定した。今後はPRに力を入れながら、出資額を引き下げ、事業を拡大させたい」と話している。新年度以降、小川の水流を使った小水力発電にも取り組むという。
フォーラムは14日午後1時30分から、福井市宝永の県国際交流会館で開かれ、太陽光や小水力の発電所を市民ファンド方式で運営する「おひさま進歩エネルギー」(長野県飯田市)の原亮弘さんが講演する。無料。問い合わせはエコプランふくい(0776・30・0092)。
(読売新聞)