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次世代太陽電池、今夏、実証実験 実用化へ一歩

 弱い光でも発電でき、屋内のインテリアを兼ねた補助電源として期待できる次世代の太陽電池「色素増感太陽電池」の大規模実証実験が今夏、平塚市の県農業技術センターで始まる。3年かけて発電効率を検証し、2010年代の終わりまでに製品化して市場展開を目指している。(藤亮平)

 独立行政法人「新エネルギー・産業技術総合開発機構」(NEDO)のプロジェクトで、総合重機メーカーの日立造船(大阪市住之江区)などが実験を行う。

 同社によると、色素増感太陽電池は植物が日光で光合成をする仕組みを応用したもの。電極などとともに、様々な色の色素をしみ込ませた酸化チタンをプラスチックフィルムではさんだ構造になっている。

 発電効率は、従来の太陽光発電に用いるパネル型の太陽電池と比べて低いが、窓ガラスを通した日光や室内照明といった弱い光でも発電できる。

 同社などが共同開発した、今回の実験に用いる色素増感太陽電池は、A4サイズ。厚さが0・7ミリと薄く、重さも約70グラムしかない。フィルムの両面を発電に使える。赤や黄色といった多彩な色にしたり、曲げたりすることができる。同社は、こうした特長を生かして、ステンドグラスや壁紙、置物といったインテリアを兼ねた補助電源となる商品の開発を検討している。通常は携帯電話の充電や小型の家電製品の電源に使ったり、停電時には非常用電源に利用したりすることが考えられるという。

 同社は2008年から桐蔭横浜大などと共同開発を開始し、12年にNEDOの実験対象に選ばれた。実験では県農業技術センターの温室1棟を使い、天井からA4サイズの色素増感太陽電池約200枚を垂直につるして、斜めにさす朝夕の弱い日光での発電効率や寿命などを検証する。

 同社は「今後、様々な企業と商品アイデアを検討していきたい」としている。

(読売新聞)