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北陸で太陽光発電の裾野広がる コンサルや架台生産

 北陸で太陽光発電に関連する産業の裾野が広がりを見せている。三協立山はパネルを載せる架台用のアルミ合金を開発し、受注に向けた専門組織を立ち上げた。ゴミの収集・運搬の福井環境事業(福井市)は自ら北陸での事業ノウハウを蓄積した上でコンサルティング事業を立ち上げる。4月には電力の買い取り価格が下がり、太陽光発電参入の勢いは衰える可能性があるが、各社は息の長い市場になるとみて体制を整える。

 三協立山は太陽光パネルの架台向けに、主力のサッシ用より約3割軽くて強度の高いアルミ合金を開発した。また全国で太陽光発電に参入しようとしている事業者に対し架台受注の営業を強化するため、専門組織「太陽光発電推進グループ」も発足させた。

 太陽光パネルの架台では同社が建材で蓄積した金属加工技術や全国的な営業網を生かしやすいとみている。再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度により太陽光で発電した電気は現在、売電開始から20年目までは1キロワット時42円で買い取ってもらえるが、来年度は引き下げられる。三協立山は「短期的には大規模な太陽光発電所の整備が進むが、中長期的には規模が小さくなる」とみており、専門チームの設置は需要動向に合わせ提案力を高める狙いもある。

 タケダ機械は太陽光パネルを載せる架台に使う鋼材加工の機械を増産している。12年12月~13年5月の半年間の生産は40台と前年同期の2.7倍になる見通しだ。同社の架台用鋼材加工機の価格は1台700万~2000万円。受注好調の背景について、他社製と比べて「微細な加工ができるため」(伊藤勝信社長)とみている。

 福井環境事業は太陽光発電参入を検討する企業向けのコンサルティング事業を始めようと考えている。時期は未定だが、自ら事業を手掛けて売電が軌道に乗り、データがある程度蓄積された時点で乗り出す。

 1億3000万円を投じ、福井市北部にあるプラスチックごみの再処理工場の屋根に約3300枚の太陽光発電パネルを取り付けた。

 北陸は太平洋側に比べて冬季に晴れの日が少ないが、同社は1~2月の発電量をゼロと想定しても、年間25万5000キロワット時の発電が見込めると試算。「(北陸でも)投資を10年以内に回収できる」(安達弘幸取締役)という。

 経済産業省によると北陸3県で昨年7月に始まった固定価格買い取り制度の対象となった設備は、12月末時点で3221件で、総出力は5万3562キロワット。3県合計でも都道府県ごとの平均11万キロワットに遠く及ばないが、太陽光発電への参入は着実に進んでいる。

(日本経済新聞)