北海道の太陽光発電、100万キロワット超に 稼働時間の抑制検討
再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度を使った太陽光発電設備の設置計画が、北海道内で急増している。制度は昨年7月に始まったばかりだが、今年度末までに合計100万キロワットを超す設置計画が、経済産業省から認定される見通しであることがわかった。北海道電力の送電網の容量には限界があり、経産省は多くの事業者が送電網に接続できるよう、稼働時間の抑制措置を検討している。
北海道経済産業局によると、道内では昨年11月末までに、全国で最も多い出力45万735キロワットの太陽光発電設備が認定された。今年度末までに、これを上回る規模の設備が新たに認定され、合計100万キロワットを超す見通しとなった。
問題は北海道での送電網の容量が本州に比べて小さいこと。経産省によると、道内には40万~60万キロワット程度しか太陽光の受け入れ容量がないという。認定される設備の総出力は容量を上回る見通しで、このままでは全ての設備が売電することはできない。
経産省は昨年12月、北電に対し、変電所に大型蓄電池を導入するなどして送電網の容量を増やすように要請したが、蓄電池導入には多額の費用と時間がかかる。
このため経産省が現在検討しているのが、電力会社の都合による発電設備の出力抑制ルールの変更だ。現行では電力会社の都合で事業者に30日まで出力抑制を求めることが可能。容量に限りがあり、太陽光発電の計画が相次ぐ道内では、抑制期間を増やす特別措置を検討している。
1事業者当たりの出力抑制時間を増やすことで、多くの事業者が参加できるようになる。経産省は特別措置の詳細を今春にもまとめる方向。実際に出力の抑制期間が増えれば、事業者にとっては減収要因となる。
経産省の想定では、新たな事業者だけを対象とし、北電と既に契約を結んだ事業者には適用しない。
道内で計画を進める企業からは「より多くの再生エネ設備を送電網に接続するためかもしれないが、不公平感がある」との声も出ている。
(日本経済新聞)