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復権!モノづくり/太陽電池・蓄電池-日本メーカー、世界シェア奪回

 太陽電池は2030年に世界シェア33%、蓄電池は20年に世界シェア50%―。業界団体や政府が描く日本企業の長期目標だ。かつて太陽電池、蓄電池とも日本メーカーが世界を席巻していた。それが今では中国と韓国企業にシェアを奪われ、目標が遠のいている。再浮上はできるのか。13年はシェア奪回への挑戦が始まる。

 「消費増税前の駆け込み需要がある」。13年の国内市場をこう見通す太陽電池メーカー関係者が多い。12年は再生可能エネルギーの全量固定価格買い取り制度が始まって市場が急拡大した。13年度は電力会社への売電価格が下がると“ソーラーバブル”が弾けるとの見方がある。それでも業界では14年4月の消費増税前の駆け込み需要への期待が強い。

 そもそも売電価格の急落は避けられそうだ。太陽光パネルの価格は下がっているが、土地代、工事費、電線代は上昇傾向にあり、太陽光発電協会(東京都港区)では「発電コストはそんなには下がっていない」(茅岡日佐雄事務局長)と指摘する。

 売電価格は設備費などから算出する発電コストで決まるが、いまの状況だと下がり方は緩やかで市場への影響も限定的。13年度も12年度並みの200万キロワット分の総需要が見込めそうだ。

 その国内市場では日本メーカーが強い。海外大手が次々に参入して輸入比率が30%まで高まったが、国内メーカーはシェア70%を確保。13年に向けてシャープは瓦一体型、パナソニックは半分サイズの太陽光パネルを製品化した。いずれも日本の屋根に設置しやすい。京セラも大規模太陽光発電所(メガソーラー)の工期を短縮する架台を開発するなど各社は日本市場の特性にあった製品を追加しており、日本メーカーが優位だ。

 しかし海外に目を向けると劣勢は否めない。日本勢の11年のシェアは5%にすぎず、60%の中国勢との差が大きい。韓国ハンファは独大手の買収で生産能力が年230万キロワットに拡大し、日本の年間需要を1社で賄える規模になった。

 太陽光発電協会は30年の世界の総出荷量が11年の10倍の2億キロワットになると予想する。その時点で、日本勢でシェア33%の獲得を目指す。実現には海外市場でもシェアを伸ばす必要がある。

 その海外では最大の欧州市場が低迷している一方で、米国市場の拡大が見込まれる。また米国で中国製太陽電池の不当廉価(ダンピング)が認められ、中国製への課税が決まった。中国勢への風当たりが強まると日本勢の商機も広がる。コスト競争に耐えられるかが課題だが、13年は好調な国内での勢いに乗って海外大手に挑む年だ。

(記事:朝日新聞)

 【蓄電池-助成金開始も盛り上がりに欠く、コスト低減・長寿命化カギ】

 12年はビルや家庭に設置する蓄電池を対象とした助成金制度が始まり、“蓄電池元年”と言われた。だが、家庭用だと1台100万―200万円と高額で助成金があっても60万円以上する。料金の安い深夜電力を充電して日中に活用すれば電気代を減らせるものの、投資回収まで長期間を要するため費用対効果が期待しにくい。

 ソニーやNECなど12社が助成金対象となる蓄電池を製品化して市場に参入したが、助成は3500件程度と盛り上がりに欠けた。

 13年は産業分野向けの大型蓄電池の販売が本格化する。パナソニックやエリーパワー(東京都品川区)が充電容量10キロワット時を超える大型蓄電池を発売する。工場や学校、ビルの非常用電源設備として市場が広がりそうだ。ただし大型蓄電池もコスト高がネック。

 パナソニック製の同15キロワット時は1000万円以上する。助成金制度があっても投資回収に時間がかかるのは家庭用と同じ。今のところ「停電時でも設備を動かせる価値を認めてもらえるか」が普及のカギだ。

 市場の本格的な拡大に向けコスト低減が優先課題となる。12年12月に川崎市川崎区で新工場を稼働させたエリーパワーの小田桂経営戦略広報部長は「大量生産でコストを低減できる」と自信をみせる。長寿命化も課題の一つ。「最低でも10年」というのが各社の共通認識だ。川崎重工業の石川勝也ギガセル電池センター長は「市場からは15―17年を求められている」とも明かす。

 コスト低減や長寿命化は、電力インフラ向け蓄電池の普及にもつながる。大型蓄電池を手がける日立化成工業の太田黒俊夫産業エネルギー事業本部副本部長は「一番、期待しているのが送・配電向け」とし、電力インフラ分野を“本命視”する。

 電力供給量の調整や、再生可能エネルギーの出力変動の調整に大量の蓄電池が必要になると想定されるからだ。東芝の江草俊二次電池システム技師長も「15年から市場が立ち上がる」と期待する。

 経済産業省は20年に蓄電池の世界市場が20兆円に拡大すると予想する。そのうち50%を日本メーカーで獲得する戦略を描く。現在のシェアは18%にとどまるため、目標は高い。家庭用やビル、電力インフラ向け蓄電池は世界的にも新しい市場だ。日本で市場を作れば世界に打って出る機会にもなり、シェア拡大につながる。