太陽光発電、買価引き下げ/県内、申請急増
再生可能エネルギーの普及を促す「固定価格買い取り制度」で、太陽光発電の買い取り価格が4月から引き下げられる。香川県内でも現在の1キロワット時当たり42円の適用を受けるため、国に申し込みが集中し、設備も不足するなど駆け込み需要が起きている。一方で、1割程度安くなる新価格に対し、施工業者からは「十分利益の取れる価格」「家庭用は厳しい」など、さまざまな反応が出ている。
同制度は昨年7月に開始。太陽光や風力などで発電した電力の全量を電力会社が買い取る。一般家庭の太陽光発電は余剰分のみ。買い取り条件は毎年度見直され、経済産業省の委員会は3月11日、13年度の太陽光について、事業用の出力10キロワット以上が1キロワット時当たり37・8円、家庭用が中心の10キロワット未満は38円とする案をまとめた。
「一時はダンボール箱3、4箱分の手続き書類が連日届いていた」とするのは、四国経済産業局エネルギー対策課。42円の適用を受けるには、3月末までに国の発電設備の認定と電力会社との契約を済ませる必要があり、同課には昨年12月から申請が急増した。
こうした動きは販売業者にも波及。ケーズデンキ高松本店(高松市多肥上町)では、前年の2倍以上の申し込みがあり、担当者は「全国的に太陽光パネルなどが不足しており、メーカーによっては3、4カ月待ちの状態」という。
一方、これから適用となる新価格についての評価は分かれる。事業用設備の販売、施工を手掛ける大豊産業(同市)は「利益は出せる」とする。例えば、出力100キロワットの設備を約4千万円で整備した場合、42円なら12年程度で、37・8円でも13年程度で費用を回収できると説明。価格は20年間固定のため、以降は収入になるという。
しかし、発電能力が小さく、価格の固定期間が10年間の家庭用は別との見方も。吉田石油店(三豊市)によると、家庭用は4キロワットが一般的で、設置費用は160万~200万円。国の補助金も新年度から減額されるため、担当者は「10年で費用を回収できるかはぎりぎりのライン」とみる。
今回の見直しは、普及による設備費用が減少傾向にある中、現在の水準が割高だと判断されたためだが、今後の太陽光発電の普及ペースにどんな影響を与えるのか注目される。
(四国新聞-)