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岡山大やベネッセ、酸化鉄使う太陽電池開発へ研究組合

 岡山大学とベネッセホールディングスなど9社は16日、酸化鉄化合物を使う次世代型太陽光パネルを開発する技術研究組合を設立したと発表した。2014年度中に基本技術を確立する。製造コストを現在主流の太陽光パネルに比べて30分の1に抑える。

 設立した酸化鉄太陽電池技術研究組合は岡山大大学院自然科学研究科の池田直教授がプロジェクトリーダーを務める。ベネッセHDのほか、磁性粉末材料大手の戸田工業など9社が参加。13年度に事業費として3千万円を拠出する。

 同組合が基本技術の確立に取り組む次世代太陽光パネルでは「グリーンフェライト」と呼ぶ酸化鉄化合物を使う。結晶の中にバランスを崩しやすい状態で電子が集まっており、1つの光の粒(光子)が当たると一度に4~5個の電子が動く特性を持つ。赤外線でも発電が可能になるという。

 発電効率が高いうえ、材料も安価なため、製造コストが大幅に抑えられる。シリコンを素材にした太陽光パネルの製造コストは現在、1ワット当たり200~300円とみられているが、同組合は8円を目指す。

 安価な製造技術を前提にした基本技術の確立後も、さらに量産化技術の開発などが必要で、製品化まで10~15年かかる見通し。同組合の理事長に就いた福武総一郎・ベネッセHD会長は同日の記者会見で「取得した知財権は幅広く使えるようにしたい」と話し、製品化へのスピードを速める考えを示した。

(記事:日本経済新聞)