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富士通、太陽光発電と蓄電池運用を最適制御する技術を開発

 富士通は太陽光発電と連動する蓄電池の運用を最適制御する技術を開発した。想定される電力需給の推移を1万通り以上計算し、太陽光発電からの電力を無駄なく使えるように蓄電池の充放電を決める。2012年に川崎工場(川崎市中原区)で実証実験をしたところピーク電力を平均24%抑える効果を確認できた。太陽光発電を電源の一つとしたマイクログリッド(分散型小規模エネルギー網)の制御技術として実用化を目指す。

 川崎工場内に発電容量45キロワットの太陽光発電システムと充電容量80キロワット時の鉛蓄電池を導入し、商業電力も使いながらビル1フロア分の照明とOA機器の電力を賄う実験をした。期間は12年5―9月。太陽光の出力が下がれば蓄電池からの放電で電力を供給。日射量が多く出力が増えれば使い切れなかった余剰電力を蓄電池に充電する。放電と充電はコンピューターで計算した運転計画で決める。

 コンピューターではまず、気象予報から1万通り以上の需給推移をシミュレーションし、蓄電池の運転計画をいくつも作成する。その運転計画から最適な計画を選んで運用を開始。その後も日射量と蓄電池の残量を見ながら運転計画を選び直す。実験では1時間ごとに計画を修正し、ピーク電力を低減できた。

 運転計画では蓄電池の充電残量が一つのポイント。満充電で運用を始めると余剰電力を充電できなくなる。逆に残量が少ないと太陽光の出力低下時に放電で賄える電力が減る。実証では予測に基づいた充放電で変動に対応できることがわかった。

 太陽光が大量導入されると余剰電力が系統に流れる逆潮流が大規模に発生し、電力供給が不安定になる。開発した制御技術は蓄電池で余剰電力を吸収できるため太陽光発電を使ったマイクログリッドの普及に役立つ。

(記事:朝日新聞)