パナソニック、HIT太陽電池が外部要因での出力低下がないことを欧州の機関で実証
パナソニックグループで電池事業のエナジーは、独自のHIT太陽電池について、セルとフレームの間に高い電圧がかかった状態で高温多湿などの外部要因が加わっても出力が低下しないことを、欧州最大の応用研究機関、フラウンホーファー研究機構シリコン太陽光発電研究センター(ドイツ)の試験で実証した。品質の高さをアピールする。
実証したのは、PID(電圧誘起出力低下)と呼ぶ現象に対する耐性。PID現象は、太陽電池セルと接地されたフレームの間に高電圧がかけられた状態で、温度や湿度などの外部要因が加わると起きる出力低下を指す。モジュールだけでなく太陽光発電システム全体の出力を低下させ、高電圧、高温多湿の環境でPID現象が発生しやすいとされる。
フラウンホーファー研究機構シリコン太陽光発電研究センターでは、HIT太陽電池10台を使用して温度50℃、湿度50%、正と負の電圧1000Vの条件で48時間、試験を行った。その結果、出力が低下することはなかった。同研究センターは「他の太陽電池と異なる独自構造を持つHIT太陽電池に合わせて試験し、PID耐性が証明できた」としている。
太陽電池セル表面の絶縁層の帯電がPIDを引き起こす直接の原因と考えられているが、HIT太陽電池は表面が透明の導電膜となり、絶縁層を使用していないためPIDは起きないといい、これまでに日本、北米、欧州市場で発生事例の報告はない。2012年9月には日本の専門機関でもPID耐性を立証し、これで国内外2機関で証明されたことになる。
(記事:日経BP環境経営フォーラム)