三井不動産、分散電源の電力を地域で融通するスマートグリッドを実用化
三井不動産株式会社は24日、環境共生都市・健康長寿都市・新産業創造都市を目指してまちづくりを進めている千葉県柏市「柏の葉スマートシティ」において、太陽光発電や蓄電池などの分散電源エネルギーを街区間で相互に融通するスマートグリッドの運用を、2014年7月より段階的に開始すると発表した。
このスマートグリッドには大きく二つの狙いがある。その一つが、平常時の電力ピークカットだ。具体的な運用方法として、オフィスでの電力需要が高まる平日には商業施設からオフィスビルに電力を融通し、商業施設での電力需要が高まる休日にはオフィスビルから商業施設に電力を融通するといった計画が挙げられており、同社は、この取り組みによって地域レベルで約26%のピークカットと、年間約1,000万円の経済的メリットを得られるとしている。
もう一つの狙いは、非常時の防災力強化を図ること。大規模災害などによって停電が発生した際には、地域の発電・蓄電設備の電力を「特定供給」として、住民生活の維持に必要な施設・設備に供給することで、街の防災力を高めることができるとしている。
スマートグリッドを実現させるにあたって、既に商業施設やオフィスビルへのミドルソーラーや大型蓄電池・ガスコージェネレーションを導入している他、各施設や分散電源をICTネットワークでつなぐAEMS(Area Energy Management System)の構築を進めている。これにより、様々な情報を収集・分析して、地域における最適な電力供給計画を策定することが可能となっている。
自営の分散電源や送電線を使い、公道をまたいで街区間で構築される本スマートグリッドの構築は、日本初の取り組みとなる。同社は、本取り組みの実現に向けて電力制御技術を確立するとともに、経済産業省より災害時に「特定供給」によって既存の住宅街区に電力供給を行うことに対する許可を受けたとしている。
同社は、柏の葉エリアのほか、既存都市のスマート化を目指して「日本橋スマートシティ(日本橋室町3丁目)」プロジェクトも推進しており、柏の葉エリアで実現する郊外型スマートシティモデルと、日本橋エリアで実現を目指す都心型スマートシティモデルの双方のノウハウを蓄積することで、スマートシティ開発の世界的リーディングカンパニーとしての地位を確立していくとしている。
三井不動産株式会社 – ニュースリリース
http://www.mitsuifudosan.co.jp/corporate/news/2014/0424_02/index.html