「HEMS」についての解説
現在、企業・団体の注目を集め、メディア等で取り上げられる機会も多くなった「HEMS」というシステムをご存じでしょうか?
いざインターネットを利用して「HEMS」と検索をかけてみてもよくわからない横文字や専門用語や単語ばかりが出てきて、その実態までしっかり把握している方は少ないのではないでしょうか。
本記事では、これから普及していくであろう「HEMS」について、わかりやすく解説していきます。
HEMSとは?
「HEMS(ヘムス)」とは、「Home Energy Management System」の頭文字を取った言葉で、そのまま訳すると「家庭内エネルギー管理システム」という意味です。
“家庭内エネルギー”とは具体的に電気・ガス・水道といった家庭内で使用する資源やエネルギーをまとめて家庭内エネルギーと呼びます。
“管理システム”というとエネルギーをどのように管理するのかイメージが浮かびにくいですが、具体的には「エネルギー利用状況の見える化」と「電化製品等の制御」を行い管理する仕組みのことを指します。
見える化とはその名の通り、家庭内で利用したエネルギー状況をPCやタブレット、スマートフォン、携帯電話などの端末で表示できるようにすることです。
NTTスマイルエナジーの「エコめがね」や大阪ガスの「エネルック」などがそれにあたります。見える化された家庭内エネルギーを電力の使用状況や時間等を考慮して自動的に制御するシステムを「HEMS(ヘムス)」と呼びます。
※「HEMS」は仕組み(システム)の名称であり、製品の名前ではありません。
HEMSのメリット
HEMSによってエネルギー利用状況の見える化と制御が出来るようになると、どのようなメリットを得られるのでしょうか?
◎ファームアップを行うことによって、常に最新の「見える化サービス」を利用できる。
「HEMS」は内部にOSを搭載しており、システム内のソフトウェアが更新されることによってインターネット回線を通じアップデートを行い、機器の状態を最新に保つことが可能になります。
◎電化製品を自動制御できるため、効率的なエネルギー利用が可能。
HEMSに対応した電化製品を使用している場合、それらの機器を自動で制御することが可能です。
と、このように様々な設定が可能になり、効率的にエネルギーを利用することが出来ます。(もちろん製品によって異なるので、今後の発展に期待しましょう。)
※HEMS対応電化製品の使用例
・エアコンの場合
「電源をオンにして、1時間たったら省エネモードにする。」
「室温が設定温度を下回るまで風量を強に、それ以降は微風に。」
・IHクッキングヒーターの場合
「家庭内で使える電力量を自動で判断し、火力を調節する。」
・太陽光発電+エコキュートの場合
「太陽光発電の余剰電力を使ってエコキュートを自動沸き直しさせる。」
◎省エネや節電への意識向上につながる。
現在使っているエネルギー量を把握できるほか、過去のデータとの比較などもできるため、自ら積極的に節電や節水などといった省エネ活動に取り組まれる方も多いとの事です。
HEMSを利用することによって、以上のメリットを得ることができます。
HEMSのデメリット
現時点で考えられる「HEMS」のデメリットをあげていきます。
●普及が進み始めたばかりなのでコストメリットが明確ではない。
「HEMS」を導入するには、必ず工事費を含めた費用が必要になります。導入にかかった費用と、導入後に達成した節約費用を比較したときのコストメリットが現状でははっきりわかっていません。
●通信規格、”ECHONET Lite”に対応した電化製品が少ない。
「HEMS」は電化製品をコントロールする際に”ECHONET Lite”という特別な通信規格を使用しているので、それに対応していない製品では効果はありません。
現在のところ、”ECHONET Lite”に対応した電化製品がまだまだ少ないため、HEMSの恩恵をはっきりと感じるようになるのは普及拡大や研究が進んだ今後明らかになっていくことになるでしょう。
HEMSについての総括
HEMSの今後の見通し
地球温暖化対策や、原発の安全性、化石燃料の枯渇等が問題視される中、エネルギーの安定供給・確保が世界的に重要な課題となっています。
HEMS導入を太陽光発電システム設置補助金の交付条件としている自治体も増えており、今後この流れは拡大していくことが予想されており、エネルギーを無駄なく効率よく利用するためにはHEMSの効果は最適で今後の普及拡大は間違いないと思われます。
また、家電製品や住宅設備との関連性も高く、一般住宅向けにおいてさらなる普及が進み、日本経済に大きく影響を与えることは間違いありません。
HEMSについてのまとめ
・「HEMS」とは、”Home Energy Management System”の頭文字を取った言葉で、電気・ガス・水道などの家庭内エネルギーをコントロール出来るシステムのこと。
・HEMSを通じ、家庭内エネルギーの利用状況を確認することが出来る。
・HEMSを通じ、電化製品を自動で制御することが出来る。※”ECHONET Lite”という通信規格に対応したものに限る
・普及率がまだ低く対応製品も低いためコストメリットが明白ではない。
・住宅販売、家電販売などと関連性が高く、抱き合わせ販売が可能になるため
今後の日本経済を大きく影響をあたえる可能性がある。