太陽光発電に関するプロジェクトを独自にピックアップ!特集情報としてご紹介します。

ソーラービジネスのリスクヘッジを考える。
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融資利用とリスクヘッジがもたらす売電収益の安定性

太陽光発電事業の活発化を受けて、太陽光発電の建設費や設備費に充てる資金需要が大幅に増加しています。全量買取制度の施行以降、メガソーラーといわれる億単位のシステムから、50kW未満の比較的小規模なものまで、大小さまざまな太陽光発電所が建設されていますが、一部大手の企業ではない限り、建設費用はやはり金融機関からの融資で調達するのが一般的なやり方です。
ここでは、太陽光発電事業を検討する際に欠かせない融資制度と、長期利用を前提として不可欠なリスクヘッジにスポットを当てながら、ビジネスとしての太陽光発電を考えていきます。

メガソーラー、土地活用による発電事業、ビル、工場、マンション屋根の活用といったいわゆる産業用太陽光発電の普及は、銀行などの金融機関にとっても有効なビジネスチャンスになっていることは間違いありません。

全量買取制度のスタートに伴い、堅実なリターン(売電収入)が見込める太陽光発電事業は、確実な採算性を維持することが可能となっています。その安定的な採算性を背景に、大手都市銀行だけでなく地方銀行も太陽光発電事業者向けの融資に積極的に乗り出しているのが現状なのです。
さらには、自社グループのリース会社やコンサルティング会社と手を組み、太陽光発電事業へ参入する事業主のアドバイスや支援事業にも取り組んでいます。

具体的には、みずほフィナンシャルグループなど大手行の2012年度の事業融資は1000億円規模に達しており、2013年度も順調に融資幅は拡大していく見通し言われています。すでに専門のファンドを設立し、発電プロジェクトに事業会社と共同で出資するほか、地方銀行とも協調して融資する姿勢です。

地方銀行も融資にはたいへん積極的で、中小企業や個人が太陽光発電を設置する際の融資を強化しており、全量買取制度の買取期間に合わせた形で融資期間を最長20年とする商品もリリースしています。発電事業に適した土地が確保できるのであれば、これを利用しない手はありません。

ここで、金融機関が手掛ける太陽光発電事業の融資制度をいくつかご紹介します。

●政策金融公庫

制度名称 環境・エネルギー対策資金〈非化石エネルギー関連)
資金用途 非化石エネルギーを導入する施設を取得(改造、更新を含む。)するために必要な設備資金
融資限度額 直接貸付 7億2千万円
代理貸付 1億2千万円

●京都府 文化環境部エネルギー政策課

制度名称 経営発展支援融資
資金用途 設備投資、設備一般 太陽光発電設備等
融資限度額 1企業 8,000万円
1組合 1億6,000万円
(設備資金の30%以内の運転資金の利用可)

●武蔵野銀行

制度名称 むさしの太陽光発電事業支援融「太陽の恵み」
資金用途 10Kw以上の発電の能力を有する太陽光発電事業に必要な設備資金
融資限度額 1,000万円以上(100万円単位)

●千葉銀行

制度名称 電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法
資金用途 10kw以上の発電能力を有する再生可能エネルギー発電事業に必要な設備資金
融資限度額 1,000万円以上

また、経済産業省からは再生可能エネルギーの低融資制度「クリーンエネルギー・ファイナンス制度」が始まります。再エネの導入を促すために、住宅屋根を借りて太陽光パネルを設置する企業に対し低金利で融資する制度で、企業が約200万円の初期投資費用を負担し、売電によって得た収益の一部を住居の家主に賃料として支払うというものです。

民間の投資拡大や経済再生の手段として期待される同制度は、政策の目玉として大変注目されています。

このように太陽光事業ブームに沸く日本景気ですが、メガソーラーや産業用太陽光発電は長期的な利用を前提とする性質上、あらゆる懸念材料が存在します。

第一に天候リスク。太陽光発電は天候の影響を受けやすく、日照量によっては予測していた発電量に満たない可能性があります。

第二に、メーカーが倒産するリスクです。昨今、海外からも非常に多くの太陽光パネルメーカーが参入しているため、以前に比べて商品選択の幅が格段に広がったともいえますがその反面、メーカーが倒産した場合、修理、保証はどうなるのかという問題もあるのです。

そして第三に自然災害のリスクも想定されます。太陽光パネルは屋外に設置されるという性質上、風害、落雷などの自然災害にさらされることは避けられません。

しかしこのうち、メーカー倒産と自然災害のリスクについては、一部の損害保険会社が損失を補填する保険を販売するなど、リスクヘッジを目的とした商品も誕生しています。

一方で、昨今の太陽光事業ブームは優遇的な買取価格が見込める3年間しか続かないのではないかという見方もあります。全量買取制度は、年度ごとに段階的に買取価格が引き下げられるわけですが、政府の予測する導入量を大幅に上回れば、急激に太陽光不況になる恐れもあります。
これらを総合的に判断すると、後述の通り太陽光発電事業を取り組む際に留意しておくべき部分は自ずと見えてくるのです。

・金融機関の融資制度を調べる
施工会社を選ぶ際は、融資に必要な事業計画書の資料についても対応してもらえるかはとても重要。産業用太陽光発電の施工実績豊富な業者を選定しましょう。
・年間通しての日照条件をよく検討する
夏場は非常に日照りが良く好条件と思っていても、冬になると大きな影ができてしまったというケースもあります。周囲の環境は念入りに確認しましょう。
・発電予測はシビアに見る
あらゆるリスクを想定して、発電量に伴う売電収益は厳しめに見ておくほうが望ましいです。シビアなシミュレーションで確実な収益を見出すことができれば、安心して運用を進めることができます。
・なるべく早い段階で設置の判断を決める
前述のように全量買取制度は段階的に買取価格が下がっていくことは明確です。検討を後回しにせず、早めの判断で時期を逸しないように気を付けましょう。

ビジネスとして太陽光発電を行う国内の土壌は着実に整備されており、日本は2013年度には世界で3番目に大きな太陽光市場になるとも言われています。
しばらく続きそうな太陽光事業ブーム。メガソーラー、産業用太陽光発電という数千万円~数億円規模のシステム導入には慎重にならざるを得ず、念入りな収支予測と有効な資金調達、想定されるリスクとどう向き合っていくかが太陽光ビジネスの重要ポイントであることは言うまでもありません。